3 第1話「市貝町に地味なヒーロー誕生!?」

この物語は、日本一地味な町として有名な、栃木県の市貝町(いちかいまち)に住む、自然を愛する青年・・・というには少し遅すぎた男の、”地元愛”と”自然愛”と”ちょっとした夢と希望”が織りなす英雄戦記(ヒーロー物語)である!・・・たぶん。

 

さてさて、早速、この物語の主人公を紹介しよう。

彼は、過去に地元の「市貝町」の魅力を広めようと”ご当地ヒーロー”の衣装を作って色々な活動してみたが、周りの人に受け入れてもらえないという残念な結果に終わり、心に深い傷を負った、愛すべき隣人である!

 

途方に暮れていたある日の事、彼は、ひょんなことから、市貝町に舞い降りた霊獣(まぁるくて可愛らしい、ズングリムックリで、鷹のようなそうでないようなもの)に、”市貝町の魅力を伝える使命””タマゴ型の不思議アイテム”を託され、「サシバのマスク」「地味なジャージ姿」のヒーローに変身する能力を得たのであった!

 

とはいえ、当の本人は狐につままれたような気分のままのようで・・・さてさてどうなることか・・・ちょっと覗いてみるとしよう・・・


 

日が沈もうとしている林の中に彼はポツンと立ち尽くしていた。

「それにしても、さっきの生き物はなんだったんだろうか?

いきなり現れ、一方的に”市貝町の自然と未来と頼むぞ~”と言い放って消えてしまったが・・・い やいや、そもそも、あれ自体は俺の幻覚や妄想の類ではないのか?(まさか、ご当地ヒーローの失敗で、心に負った深い傷によるものなのか?)。自分の頭はどうにかなってしまったのか?」

自問自答する中で、頭を抱えこんだ拍子に、自分の手、腕、服、足・・・服装が地味なジャージに変わっていることに気づく

「服装が変わってる?これは、夢じゃないのか!?ひょっとして、あの変なタマゴで変身できたのか?」

さらに、自分で自分の服装がどう変わってしまっているのかを必死に確認する
(もちろん、林の中で、自分の体をきょろきょろと確認する人影はいうまでもなく怪しすぎる)
 

そんな、不審な行動を何度か繰り返した末、両手で自分の顔をペタペタとなでまわし始めた

 

「確かに服装は地味なジャージに変わっている。幻覚じゃなく現実の出来事だったんだ。となると、頭は?顔はどうなっているんだ?すごく気になる。」

周囲をキョロキョロみまわし、近くの用水路を見つけた彼は、その水面に写る自分の顔をの覗き込んだ

「おぉぉ、このマスクは”サシバ”の形をしている。いいじゃないか。いいじゃないか。」

顔はマスクで見えないが、彼のテンションが高まり、ニンマリとした表情であることが伺える。

 【ポイント】
 ここで、よい子のみんなに説明せねばなるまい!
 この「サシバ」というのは、おじいちゃんの「入れ歯」でもなければ、おばさんの「刺し歯」といった歯茎とデリケートな関係にあるものではなく。

 現在、絶滅の危機に瀕しており、ここ市貝町に日本一生息している、小型(カラスぐらいの大きさ)の鷹のことである!!


しばらく、水面に写る自分の姿をいろ色々な角度から確認しながら、彼は、何か決心したように頷き、グッツと握ったこぶしを天高く突き上げてこう叫んだ

「俺は本物のヒーローになれたんだ~~~っ!!」

日が暮れた、市貝町の林の中で歓喜の声がこだまする。

 

時代(とき)は西暦2014年4月7日、サシバの里「市貝町」の霊獣に使命を託された彼は、ヒーローの姿を借りて、「市貝町のPR」「自然保護」を行っていくことを決心した。

 

こうして、日本一地味な市貝町のヒーローが人知れず地味ぃ~に誕生したのであった

 


 

さてさて、彼は使命を果たすために、どのように行動を起こしていくのか!

気になるところではあるが、それは、また別のお話・・・

 

彼の健闘を期待しつつ、みんなで見守ることとしましょう。

それでは、またお会いできる日を楽しみにしております。

(つづく)